リニアフェイズEQの使いどころ、使い方

どうも
俺もよくわからん。
が、個人的にliner phase EQをチョイスする場面を根拠付きでご紹介します。
また正しい使い方を紹介します
リニアフェイズEQとは
通常のEQでは、特定の周波数帯域をブーストまたはカットすると、位相のズレが発生します。これは、音の波形のタイミングがずれることを意味し、音質に影響を与えることがあります。特に、複数の楽器や音が重なり合うミックスにおいて、位相のズレは音の濁りや不明瞭さの原因となることがあります。
一方、リニアフェイズEQは、位相の変化を最小限に抑えるように設計されています。これにより、音の波形のタイミングが正確に保たれ、原音の明瞭さや透明感を維持することができます。
リニアフェイズEQのメリット
- 原音の明瞭さ: 位相のズレを抑えることで、音の分離感を向上させ、各楽器や音がより明確に聞こえるようになります。
- 透明感: 位相のズレによる濁りが少ないため、クリアで透明感のあるサウンドを実現できます。
- 自然な音質: 位相の変化が少ないため、原音に忠実で自然な音質を保つことができます。
リニアフェイズEQのデメリット
- 計算負荷が高い: 位相の変化を抑えるために複雑な計算が必要となるため、CPU負荷が高くなる傾向があります。
- プリリンギング: 処理の過程で、音の立ち上がりの前にわずかな音の波形が現れる「プリリンギング」と呼ばれる現象が発生することがあります。
- 音の変化が少ない: 位相の変化が少ないため、音の変化が分かりにくく、積極的な音作りには向かない場合があります。
リニアフェイズEQの使いどころ
と生成AIが生成した説明文はおいておいて、本題に入っていきましょう。
マルチトラック素材の単トラック
ドラムとかです。
あとはベースのラインとアンプを混ぜるときとかでしょうか。
他のマイクとの位相がずれると打消し会いが発生し、意図しない問題が発生するかもしれません。
打ち込みならあまり気にしなくていい"かも"しれません。
クロスオーバー
例えばベース2トラックに複製して、ローパスしたトラックとハイパスしたトラックに分けて別の処理をするクロスオーバーてきな処理をするときに使います。
マルチトラッキングと同じ理由です。
LR,MSの片方だけ処理するとき
MとS(またはLとR)片方だけEQすれば当然片方の位相が崩れるので、もう一方のトラックと位相干渉をおこします。
極端なEQをするとき
EQは極端にかけると位相も極端に変わります。
それでも単一ソースに使用する場合は問題ないだろと思われがちですが、実は単一ソース内でも周波数ごとに位相干渉が起きてピークが上昇する場合があります。
IzotopeのEQは入出力のレベルをモニタリングできるのですが、ローカットをしているのにもかかわらずなぜかピークレベルが上昇しているのが以下の画像から読み取れると思います。

特にローパスハイパスが一番位相がずれるのでこの傾向にあります。
ハイパス警察ローカット警察がローカットするなっていってる理由の"一つ"がこれだと勝手に思っています。
後段にコンプなりエキサイター?サチュレーター?みたいのを指してそのピークを処理する手間が増えるので気軽にリニアフェイズEQを使っていくのもありかもしれません。
ピーク増えたからなんなん?ってひとは別に気にしなくていいです。
リニアフェイズEQの使い方
使い方もくそもないだろって思われがちですが、リニアフェイズEQは種類によって分解能が違います。
分解能が違います。例えば分解能が2048な場合でサンプリング周波数が48kHzだと23.4375hzの倍数しか操作できません。
以下の画像をご覧ください。

分解能を下回っている部分は動作しない

もはや動作をしていないに等しい

下の分解能が足りないのかいびつ

許容範囲?

10倍とれば安心
DMGのequilibriumで分解能を2048に設定したものをPlugin Doctorでアナライズした画像ですが、見てわかる通り、実はリニアフェイズEQは制御できない周波数帯があります。
高域はあまり気にしなくていい(2340Hzと2363Hzは大差ないので)気もしますが、低音は如実に影響が出ます。
そのため低音をいじくりまわすにはDMGのequilibriumやReaper付属のReaFirなど分解能をいじれるリニアフェイズを使うか、自分の使っているリニアフェイズEQの性能を調べる必要があります。
リニアフェイズEQの性能を調べる
といってもとても簡単です。

DAWにはトラックの遅延時間を調べる機能があります。たぶん。俺の知っている中だとCubaseやProtoolsにはある。
これの遅延サンプル数を2倍にした値が分解能となります。
(msecからサンプルを求めるには秒*48000です。上記なら0.0558秒*48000Hzです。)
上記の画像だとLinEQ Broadbandは5358、Lowbandは4094となります。
そして設定しているサンプリング周波数から分解能を割ると最低周波数がわかります。
48kHzだとBroabandは8.95Hz、Lowbandは11.7Hzとなります。
これの倍数の周波数がリニアフェイズEQで操作できる周波数となります。
低域をリニアフェイズで操作する場合は計算して使用しましょう。
リニアフェイズEQ計算ツール
計算がめんどくさいって方もいると思うのでツールを作りました。
- サンプリング周波数
- 遅延量
- 操作したい周波数
を入力するとそのリニアフェイズEQで操作可能な周波数から最も近い値を教えてくれます。
ご活用ください。
おわりに
リニアフェイズEQは万能のような反面、処理に遅延が発生したり、負荷が大きかったりデメリットもたくさんあり、すべてのEQをリニアフェイズにするのにはintelやAMDの尻を5億回くらいたたく必要があります。
この記事を読んだあなたは、ケツドラマーにならなくとも、リニアフェイズEQを使うべき状況を理解し、プロジェクトの負荷を減らすことができたと思います。
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